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RIZIN44 金原正徳Vsクレベルコイケ戦感想

9月24日(日)さいたまスーパーアリーナにで行われましたRIZIN44。

その中でフェザー級の注目カードが様々ありました。

メインカードの金原正德VSクレベルコイケが格闘家たちの中でも注目されており、私個人もすごく楽しみにしていたカードでしたので、独断と偏見の感想を書いていきたいと思います。

 

 

【これまでの経緯】

クレベルコイケ選手は第3代RIZINフェザー級チャンピオン、一方金原正德選手は元戦極フェザー級グランプリ王者。

クレベルこんな人

クレベルコイケ選手は皆さんがご存じの通りのボンサイ柔術の柔術家。

RIZIN26のフェザー級参戦以来、6連勝で牛久選手のフェザー級ベルトを三角締めでゲット。

しかし、ベラトールとの対抗戦ではピットブル選手にテークダウンも取れず判定負け。

敗戦後の次戦、鈴木千裕選手との対戦時に400gの体重超過で防衛しないままチャンピオン陥落、試合に勝利するもノーコンテスト。

それでも、フェザー級では1,2を争うグラップラーです。

 

金原はこんな人

金原選手はプライド終焉でMMA不遇の時代を生き延びたトップ格闘家。

戦極、DEEP、ZST、UFCを渡り歩き今年20周年を迎えるベテラン。

金原正德選手のRIZIN初戦は、将来堀口恭二選手と戦う事を目的にバンタム級での参戦。

ビクターヘンリーに1R ジャブで距離を取り、3分過ぎでしっかりテークダウン。

優勢に試合を進めるも、2R 45秒ビクターヘンリーの右ストレートを不用意にもらってしまい、そのままパウンドアウト。

試合開始直後から最後までセコンドから「脚を動かして」と指示があったことからセコンドには普段の調子には見えなかったことが分かります。

敗戦後の会見で引退宣言し、一旦引退するも、RIZIN31芦澤戦でフェザー級から復活。

その後3連勝と波に乗るフェザー級の裏番長と呼ばれるほどの実力派です。

 

【クレベル減量失敗があったからこそのマッチマイク】

クレベル選手と対戦したかった金原選手

金原選手はかねてから強い選手とやりたいと言い続けており、若手選手の実力査定的なマッチメイクを嫌っていました。

1年ほど前のカジサックの小部屋への出演時も対戦したい選手として、クレベル選手をあげていました。

一方のクレベル選手は当時チャンピオンであった事、朝倉選手の再戦要求や、ケラモフ選手との対戦機運など、金原選手曰く「クレベル渋滞」の渦中にいました。

RIZINマッチメイクの中心にいたので、榊原CEOはフェザー級の若手人気選手とクレベル選手を対戦させ会場が盛り上がるカードを優先している印象でした。

その為、金原選手はクレベル選手と対戦したい欲求を一旦封印し、若手、中堅どころとの試合をこなし、山本空良選手に勝利後インタビューでケラモフ戦を直談判。

年齢的に限られた試合数の中で、自分の力を示したいという思いからの指名だったのではないかと思います。

 

そんな中、超RIZINでのカード発表

朝倉未来VSヴガール・ケラモフ

またもや金原選手に不運が。と発表直後に思いました。

しかし、実はこの対戦の裏には、金原選手が7月の出場は前戦からのダメージが抜けきれない事、それに伴い準備期間が無い事を理由にお断りしていた事、そして出場は9月以降にして欲しいとRIZIN側へ要望した事が、「金原正徳の金ちゃんTV」のメンバーシップ動画で告白されていました。

このマッチメイクにも「未来にも良かったっんじゃない。」と発言されています。

 

急展開、流れは金原選手に

その後、RIZIN43の前日計量、鈴木千裕VSクレベルコイケのクレベル選手がまさかの体重400g超過。

400gは普通の人ならサウナでも入って落とせよ、って思ってしまう重さですが、カラカラのクレベル選手には落とす水分もなかったのか、これであっさり王者剥奪。

その1か月後の7月30日超RIZINにてケラモフが未来に完封勝利。

渋滞対象はケラモフ選手に移りクレベル渋滞は一旦解消。

注目はケラモフ選手に移ったことから、生きのいい若手選手の対戦希望はケラモフ選手に移行し、ようやく金原選手の意中の人クレベル選手との対戦が決定しました。

金原選手が良く口にする「対戦相手はその時その時に流れがある」そんな言葉が体現された運命の決定でした。

 

【戦前のお互いのコメント】

クレベル選手

「私はまだチャンピオンね。ケラモフとやっても負けない、鈴木はケラモフは無理な。私まだチャンピオン」

「金原は変わらない、強い。彼、年関係ない何でも出来る。」

動画編集の影響なのか?クレベル選手の見ている方向が金原選手ではなくベルトの事のように感じるコメントでしたね。

 

金原選手

「自分に勝てる日本人にはいるかもしれないけど、クレベルに勝てる日本人は俺しかいない。トータルスキルの中でみて、上手くスクランブルできるのは僕しかいない。」

「パスガードしたい、それでめちゃくちゃ湧くと思う、それで俺が勝ちです。」

自己分析も相手分析もやりたい事も具体的だと感じましたね。

 

【戦前の他格闘家の予想】

川尻達也さん

「クレベル選手がやりにくいのはオールマイティーなファイター。金原選手はそれに当てはまり強いけど、金原選手はミスをしやすいので、そのミスに乗じてクレベルが1R   後半にリアネーキッドチョークで1本勝ち」

 

斎藤裕選手

「金原選手は三角は食らわない。クレベルは慎重に出方とみて1Rを様子見して、2Rからごちゃごちゃごちゃとしたスクランブルの展開に持ち込みその流れでチョークで1本勝ち」

 

石渡伸太郎さん

「クレベル選手が前半ボコられる、ゲームを作るのは金原選手。しかし、ワンミスをものにして3Rリアネーキッドチョーク」

 

扇久保博正選手

「金原選手は打撃も寝技も上手いので、レスリングも出来ますし、クレベルの寝技をしのぎ切って、ボディを効かせて前蹴りで金原選手のKO勝ち」

 

佐々木憂流迦選手

「グランドの展開にもあると思う。そうなるとクレベルの極め力は半端ない。金原選手が取りこぼさなければ勝てるチャンスはあると思うけど、クレベルが極めるかな_

 

ジョビンさん

「クレベルは寝ても怖くないからどんどん蹴れる、金原さんは寝技が怖いから蹴りに行けないかな?クレベルがどのラウンドもテークダウンして、その度金原さんがしのいで最終的に判定でクレベル。金原さんが勝てるイメージが正直ないけどなぁ。」

 

昇侍選手

「僕の先輩なんですよね。応援もこめて金原さんの勝ち」

 

やっちくん

「打撃で組み立てて、プレッシャー掛けて寝技を織り交ぜて、どんどんクレベルが手詰まりになって行く気がするな。一緒に練習している仲間だし忖度込みだけど、金原さんが勝つ気がするな」

 

アズキンさん(金原選手の立川ALPHA、ALPHAoneのトレーナー)

「これは死闘になると思うんですよ、今回は代表が完封し続けて判定勝ちです。お互いが死力を尽くしてこの結果が生まれるんじゃないかと思うんです。勿論KO勝ちはして欲しいですよ。」

 

その他選手の予想もありましたが、大筋クレベルの1本勝ち。

その中でも金原選手のミスを突く、打撃でまっすぐ下がる癖がある。

クレベルの極め力は予想を超えている。

そんな感じのコメントが多かったですね。

 

金原選手は打撃に特化していくだろう。寝技には付き合わないはず。

金原選手の勝ち筋は打撃と言うのか大方の見方でした。

 

【対戦のおおよその流れ】

金原選手の覚悟が見えたフェースオフ

観戦していてまず初めに驚いたのが、試合前のフェースオフ。

ここまでのRIZINの戦いで相手と視線を合わせず、グローブタッチだけの金原選手が近づいて行ったと思ったら、まさかのガン睨み。

いつも以上に目がいっていましたね。

 

クレベル、膝からのギロチンチョーク1R

1R開始直後、気合の入った金原選手は、フェースオフの気合そのまま右ボディからの左フックを顔面へ。

クレベルが少し引き気味になりました。

その後、打撃の攻防がありますが、金原選手が的確にボディーへ、クレベル選手は踏み込めず、高い前蹴りで威嚇するにとどまります。

その後、クレベルが徐々にプレスを掛けるも、いつもと違いまっすぐ逃げない金原選手。

上手くサークリングして交わしていきます。

しかし、開始2分30秒ほどで至近距離の打ち合いとなり、打ち合いは互角。

クレベルが体を密着し左腕で金原選手の首をホールドし何発か膝蹴り。

そのうちの一発が顎先にヒット。

膝から崩れそうになる金原選手をクレベルが首投げ。

金原選手はマウントポジションを回避するもスクランブルからフロントチョークを取られてしまい大ピンチ。

会場は大盛り上がりで、金原万事休すの雰囲気が。

しかし、ここから首を抜き、クレベルが下のガードポジション。

金原選手は上手くクレベルの左脇に頭を差し、クレベルは四の字ロックで凌ぐしかなくそのままラウンド終了。

 

金原コールと金原選手まさかのテイクダウン2R

2Rが始まると同時に会場は金原コール。

1R同様に金原選手は積極的にノーモーションの左ジャブから、クレベル選手のボディーへパンチや三日月蹴りを合わせる。

クレベル選手は打撃では成す術なしなのか?距離があっておらず、蹴りの空振りが目立つ。

そんな中、クレベル選手は意を決したかのように一気に間合いを詰めに行き、コーナーに金原選手を釘付けにしようとする。

朝倉未来戦で見せたような、首を抱えてからの肘打ちが入るのかと思いきや、金原選手が上手く両腕をお互いの体の中に入れ、一気に突き放しように両腕を伸ばし、左に勢い良く回りながらコーナーを脱出。

リングセンターを位置取ると会場から歓声が。

その後、開始2分ごろ、クレベル選手が蹴りからのフックを振ると金原選手がまさかのテイクダウン。

胴タックルからクレベル選手を倒し切り、クレベルコーナーでクレベル選手が下の状態のガードポジション。

金原選手はクレベル選手の首に左腕を巻き付け、頭をクレベルの左側に密着。クレベルの身動きが取れない状態をRIZINで初めて見ました。

そこから金原選手が左ひざを立て、またまた、まさかの片足をパスしハーフガード。

戦前の話の通りパスして会場が大盛り上がり。

金原選手はじわじわと肩固めの体制を作るも、クレベル選手の頭がロープを枕にする形となり極めにはなかなか至らない。

その間ももう一方の脚をパスする動きをしつつ、膝だけが抜け残り20秒になってから肘、そして拍子木がなってからパウンドの嵐。

クレベルが嫌がって横を向いた時点で、2R終了のゴング。

会場は熱狂。

ここまでほぼグラウンドの攻防なのにここまで会場が湧き金原コールが聞けるのは初めて。

 

スクラングルこれぞMMA3R

捨て身でプレッシャーをかけ打撃に出てくるクレベル選手に対して、金原選手も打撃で応戦。

しかし、コンパクトな打撃に金原選手に対して、クレベル選手の打撃はフック系で若干大振り。

そのフックを搔い潜り、今度は片足タックルからの胴タックルで、クレベル選手を倒しにかかる。クレベル選手も必死に耐えようとし、ロープを掴みかけるもレフリーに阻止され会えなくテークダウン。

その後金原選手がバックに回り、クレベル選手がそれをかわして足を取りなどのローリングのしあい、しかし、スクランブルの展開では金原選手に分があり、常に金原選手がトップキープ。

クレベル選手も意地を見せ一度は立って見せるも、金原選手がさらにテークダウン。

実況では金原選手敗戦予想をしていた川尻さんも「金原寝技地獄ですね」という程の寝技に拘った展開。

スクランブルから常にトップキープし続け、クレベル選手にほぼ何もさせないまま3R終了のゴング。

金原選手は勝利を確認し、マウスピースをリングに叩く付ける。

一方のクレベル選手は正座の姿勢で呆然。

両者の姿でどちらが勝ったかは一目瞭然。

 

20年の蓄積で成しえた戦い

試合後インタビューの金第一声

「みんなやったよ。みんなやった。」

これは金原選手の生徒さんに向けた呼び掛けでした。

 

金原選手は下馬評を覆し、ほぼ完封でクレベル選手に勝ちました。

「長くやってれば良い事もあります」

心にしみる名言でした。

山本KIDを唯一倒したが日本人が14年後にRIZINでクレベルを完封した唯一の日本人となった瞬間でした。

煽りVTRで言っていた事を体現して、格闘家が予想した金原選手の弱点を消し、見事クレベルを漬け込みました。

 

MMAは打撃、レスリング、柔術、そして体力が

必要となる競技です。

20年間の技術の蓄積を十二分に見せてもらいました。

そして、40歳でもトレーニングすれば15分動ききれる事も見せてもらいました。

 

PPV観戦しての感想

クレベル選手の体調が良くなかったのでは?と試合後の感想動画をアップする格闘家もしました。

しかし、この試合にはいくつかのポイントがあったように思います。

 

金原選手のプレスとパンチ

ご本人も試合後インタビューでも言っていましたが、絶対に開始後の一発を顎にいれる。

その気合そのままにクレベル選手に気遅れるすることなく、打撃を上下に散らしながらヒットさせていました。

これによりクレベル選手の距離感が崩壊し、クレベル選手の流れにならなかった様に見えました。

金原選手のステップワーク

勝敗予想でも多くの格闘家が語っていた金原選手のミスに付けこむクレベル選手。

そのミスというのは石渡さんや佐々木選手が言っていた「パンチを避けるときに真っすぐ下がる癖がある。」ここかと思います。

この試合では敗戦したビクターヘンリー戦とは違いステップワークが良く、リングを大きく使っている印象でした。

2R にコーナーに詰められるシーンがありました。

多くの選手はそこでパンチや肘を受け、引き込まれてからの三角締め、嫌がって後ろを向いたところをリアネーキッドチョークのパターン。

しかし、金原選手はクレベル選手の腕を上手く処理して、大きく突き放してから左に回りコーナーから脱出。

とにかくコーナーに詰まらず、流れるように戦っていたように見えました。

 

圧巻のスクランブル

クレベル選手が得意な寝技の攻防の前段階のレスリングで徹底的にクレベル選手の優位な位置を消しているように見えました。

極め力はクレベル選手の方がバリエーションを含めてあるのかもしれませんが、それを掛けさせる前段階の攻防ですべて金原選手が征していました。

戦前のコメントの通り、「上手くスクランブル出来るのは僕しかいない」を見せてもらいました。

 

驚きの体力

格闘家の方々が良く口にするのが、「この戦い方は疲れる」

そんな戦い方を15分間やり切りました。

普段から仰っている水抜き頼り反対派。

今回も計量2日前には68.8㎏、前日に夕食後にサウナで67.25㎏まで落とし、当日計量前に1.5㎏程度の水抜き。

食事も朝はプロテイン入りのスムージー、昼は参鶏湯、夜はサラダと白米というように

常に栄養を供給し、胃腸を動かせる状態がうかがえました。